だけど、私の予想に反して、彼女たちが向かった先は…坂下だった。



先輩たちが帰ってから空きパックを回収するつもりだったけど、楽しそうに談笑してるのを見てたら邪魔したくなった。



先輩たちが文句言っても、坂下は絶対に私を庇ってくれるって自信があったから、私は1歩踏み出した。



「先生、空きパック回収に来ましたー。」



「桐生さん、ご馳走様でした。」



坂下は、笑顔で迎えてくれた。



「味はどうでした?」



「とても美味しかったですよ。」



「ホントですか?

私が作ったんですよー。」



坂下は、先輩が持ってきたクッキーを1枚手に取ると



「良かったら、おひとつどうですか?」



って勧めてくれた。



「ありがとうございます。」



私は、両手でクッキーを受け取る。



その時、坂下は私の傷だらけの手を撫でながら、小声で囁いた。



「よく頑張りましたね、ワカ。」



坂下は、端から私が作ったものだって分かってたみたいだ。