3年が集まっているところに私が入ると、坂下が口を開いた。



「普段から活動に参加している3年生と桐生さんの中からステージパフォーマンスをしていただく部員を3名選抜し、残りは看板制作をしていただきます。」



坂下の中では、看板よりもステージパフォーマンスに重点を置いてるらしい。



今集まってる3年が、坂下の決定に反対することは無かった。



真面目に活動してきた部員は、ステージパフォーマンスに選ばれなくても看板制作にたずさわることができるし、幽霊部員はやる気無いし…。



だから、坂下の言葉に



「ちょっと待ってよ!」



なんて声が飛んだことに、私の周りにいた部員たちは驚いて声がした方を見た。



数少ない2年の部員が立ち上がった。



「なんで桐生さんがその中に入ってるんですか!?」



「3年生の引退後、書道部を引っ張っていくであろうと判断したからです。」



感情的になってる2年に対して、坂下はいつもの落ち着き払った声で言い放つ。



坂下が私を買ってくれるのはありがたいけど…、ちょっと困ったことになりそうだ。



「私たち2年を差し置いて、1年が選ばれるなんて…納得できません。」



ほらね、本音が出た。