「今年も、例年どおり展示用に1人2作品書いてもらうのと、当日には講堂でステージパフォーマンスを行います。

講堂でのメンバーは3名、それ以外の部員については交代で展示会場に詰めてください。」



ミーティングで、部長が文化祭に向けての活動内容を話す。



ステージパフォーマンスっていうのは、布団並みの…いやそれ以上か?とにかくでっかい紙に、これまたでっかい筆使って文字を書くことだ。



こういうのは、3年の上手い部員が選ばれるのがセオリーだ。



そんな話の最中に、部室のドアが開いた。



中に入ってきた坂下は、みんなの前に立つと言った。



「校門に掲げる看板の制作ですが、今年は我が書道部に任されました。」



坂下の言葉で、みんなが盛り上がる。



「ウチの部が看板作れるなんて、何年ぶりだろう!」



私は知らなかったけど、文化祭の顔というべき看板作りは『花形』なんだとか。



さっきまで、ステージパフォーマンスの権利を勝ち取ろうって意気込んでた先輩たちが、看板制作をしたいという空気に変わった。



看板とパフォーマンスの割り当てを決めるためか、坂下が部室の隅に3年を集める。



「みんなは練習してて。」



部長の声に従い、私たちは筆を取る。



「桐生さん。」



呼ばれて振り返ると、坂下が手招きしてた。



「あなたもこちらにいらしてください、お話しておきたいことがあります。」