「私には、距離を置いてるように見える…かな。」



今まで、こんなにカッコイイなんて知らなかったもん。



「それもあります。

和歌は、眼鏡をかけた私に『こんなのお父さんじゃない』と言って、近寄りませんでした。」



坂下、ちょっと淋しそうな顔してる。



「私、そんなこと言わないよ。

ってか、パパすっごくモテそうだから、学校じゃメガネ外すのも、前髪おろすのも絶対ダメなんだから!」



「この歳で、それは無いでしょう。」



「あってからじゃ、遅いの!

私だけのパパでいてくれなきゃヤダ。」



カッコイイ坂下は、私だけの秘密。



こんなスクープ、深夏にだって絶対教えないんだから。



坂下は嬉しそうな表情をすると、



「もうひと泳ぎしましょう。」



なんてことを言う。



「えーっ!!」



浮き輪、岩場で穴開けちゃったのにどうやって泳ぐのよ?



「さあ、手を引いてあげますから…。」



今更、泳ぎを習うなんて面倒なんだけど!



私が膨れ面をすると、



「ワカのパパとして、役目は果たさないといけませんから。」



なんて、坂下は笑った。