いつまでもギュッってしがみついてたのが、恥ずかしくなって



「パパ、さっきまで沖の方にいたのに、どうやって浅いとこまで来たの?」



なんて、口走っていた。



坂下は、少し呆れたような表情で



「泳ぐ以外に有り得ないでしょう。

ワカが暴れるので、私まで溺れるかと思いました。

疲れたので、少し休憩しましょう。」



なんて言うと、私の手を引いて岸に上がっていった。



手を繋いでいるのは、パパって呼んでる坂下のはずなのに…



海へ入る前にメガネを外し、



いつもキッチリ整えられた前髪は濡れて額にかかっているし、



鍛えているのか贅肉は無いし、



まるで、知らない男の人みたいだった。



繋いだ手が、熱い…。