「じゃあ、水泳の補習に来いって伝えて貰える?」



うわーっ、水泳の補習サボってるのバラされた!



その言葉を聞いた坂下は、チラッと私が隠れている方を見た。



補習サボってること、怒ってる…よね?



ここに隠れてること、バラすかな?



ビクビクしてると、坂下は体育教師の方に向き直った。



「桐生さんは成績が良いと聞いていますが、補習…ですか?」



「確かに勉強はできるらしいけど、体育はダメだね。

プール始まってからはいつも見学、ナメてるとしか思えないな。」



そんなことまで、坂下に言わなくたって良いでしょ!



坂下はそれを聞くと、首を傾げた。



少し考える素振りをしたあと、口を開いた。



「いつも…ですか?

ならば、何か事情があるのかもしれませんね。」




どうやら、坂下は私を売る気は無いみたいだ。



正直、ほっとした。



「事情?担任からは、何も聞いてないけど?

あんまり悪い評価すると、担任からクレームつけられるんだよね。

学校一の才媛だか何だか知らないけどさ、本人の資質を差し置いて評価上げろとか…。

何かあるなら、坂下先生聞いて貰っても良い?

ああいう生徒苦手だし、任せた。」



言うだけ言うと、体育教師は部室を出て行った。



私も、アンタみたいな頭も口も軽い奴は嫌いだっつーの。