靴を脱いだところで、お兄ちゃんが入ってきた。



「若菜、落ちたなんて余計なこと言うなよ、僕が恥をかく。

それと、明日から登下校は目立たないように裏口使って。」



「はぁ?そんなこと指図される覚えないし!」



あー、こういう奴だからあんなのしか友達いないんだ…。



なんか、納得。



「朝、お祖父様から聞いてないのか?」



聞くも何も、今日はまだ顔合わせてない。



私が名門校を落ちたこと、家族みんな恥ずかしいって思ってるわけだ。



ま、別に良いけど。



私はローファー2足を手にして、勝手口に向かった。



「裏口は敷地から出る時のみで、屋敷の出入りは玄関をお使いください。

お嬢さんが、屋敷の出入りに勝手口を使うなんて…。」



書生がぐだぐだ言ってたけど、聞こえない振りをした。