ずっと気になってた挨拶文を書いた正体を突き止めたくて、その辺の半紙を一枚手にして聞いた。



「これ書いたのって…。」



「私です。」



密かに、師事を受けたいくらい憧れてたんだけどな…。



「よりによって、変態坂下だったなんて…。」



私は、めまいがする思いだった。



「人を変態呼ばわりするのは、やめていただけませんか?」



何とか机に手をついて堪えてる私に、坂下が言い放つ。



「はあっ!?どこで手に入れたのか知らないけど、人の小さい頃の写真持ち歩いてるオジサンなんて変態以外の何者でもないわよ!」



「この写真は、私の娘です。」



坂下は上着の胸ポケットから黒いパスケースを出し、私に見せた。



どう見ても、私にしか見えない。



「私が行ってた幼稚園の制服着てるじゃんか、もうちょっとマシなウソつきなよ…。」



「嘘はついていません。

あの日、あなたの腕を掴んだのは…娘に似ていたからです。」



ホント…に?



「じ…じゃあ、明日他の写真持ってきて。

私もアルバム持ってくるから。」



「分かりました。

では明日、この時間ここで待っています。」



何で坂下と、約束なんかしてるのよ!



自分にツッコミ入れながら、廊下を歩いていった。