バックレられるなら、例年通り生徒会長に役目を果たして貰うべきだった…と教師たちが後悔する中、学ランの生徒が舞台に上がった。



って…、優!?



お前、何する気だよ?



優はマイクの前に立ち、紙を広げると、口を開いた。



「送辞。」



…は?



「冬も終わり、桜の蕾も膨らみ始め、日増しに…。」



どこから持ってきたのか、送辞の原稿を読み上げている。



「本日ご卒業を迎えられました先輩方、誠におめでとう御座います。」



お前も卒業生だろうが…、なんて心の中でツッコミ入れる。



「優、お前は留年する気か!?」



悪友たちが、野次を飛ばす。



「野田、止めろ!」



ウチの担任が優を止めようと舞台に近づくのを見て、気づいたら俺は担任を羽交い締めにしていた。



「優、構わずに続けろ!」



俺の言葉に、優は軽く頷くと読み続けた。



「思い起こせば…。」



俺は担任を羽交い締めにしたまま、優の言葉…いや、桐生ちゃんの文章に耳を傾ける。



「なぁ花見、いい加減放してくれないか?

ここまで進んだら、止める気も失せた…。」



そう言うので放してやると、担任は自分の席に戻っていった。



今から自分の席に戻ると、邪魔になるか…。



なので、舞台近くの壁に沿うように立つ。