坂下を狙って水かけまくって早1週間、私は今日も授業を抜け出し坂下HRへ向かった。



中を覗くと、ちょうど教壇にいた。



もう来ないだろう…なんてタカくくってるのか、今日は黒い雨傘を持っていない。



今日こそは、坂下の無様な姿が見られるってワケね。



私はツレに合図を送り、扉を開けさせる。



開けた瞬間、速攻でバケツの水を撒いた。



だけど、もっとよく見るべきだったと後悔する羽目に…。



坂下にかけるはずだった水、全部私が被ったっつーの!!



麗らかな春の午後とはいえ、水を被るにはまだ早い。



寒すぎるっ!!



教室の扉に透明ビニールシート貼るとか、ありえないんだけど!



完敗だ…。



頭の天辺から爪先までびしょ濡れになった私は、その場で膝をついた。



ツレが走って逃げる足音さえ、今の私の耳には届かない。