卒業式のリハーサルが終わる頃には、坂下が亡くなったことは学校中に広まっていた。



「桐生、坂下の通夜には行くだろ?」



野田先輩に聞かれて、返答に詰まった。



行っても、良いのかな?



ってか、坂下は部活の顧問だから、行くべきだろう。



行かなきゃならないんだろうけど、坂下が死んだなんてこと…。



「認めたく、無いし。」



今朝だって、霊安室から逃げ出してしまった。



「葬儀には参列できないから、顔見るのは今日しか無いぞ。」



坂下の葬儀は卒業式と重なるため、生徒の参列は認めないと学校側から言われている。



「行かなきゃ、後悔するぞ。」



今まで、坂下のことで後悔したことは…数えきれない。



「俺が一緒に行ってやるから、な?」



野田先輩にそこまで言われて、やっと決心がついた。



私が頷くと



「じゃあ、後で。」


そう言われて、野田先輩と別れた。



私は、そのまま帰路についた。



あ、教室にバッグ置きっ放しだ。



まぁ、貴重品が入っているわけじゃないし、良いか…。