修学旅行前の最後の部活で会ったきり、坂下の姿を学校で見かけなくなった。



噂じゃ、入院してるとか…。



明日から冬休みに入るというのに、その状況は変わりない。



終業式をサボった私は、昼に深夏とファーストフードの店で待ち合わせた。



「深夏はエライよね、学校サボんないし。」



「だって、行かなきゃ記事も書けないし。」



あぁ、なるほど…。



そういえば、深夏は坂下に対して『切り札』持ってるって言ってたっけ。



やっぱり、新聞部だから…かな?



今まで坂下の話題を出したことないけど、聞いてみようか。



「あのさ、坂下のことなんだけど…。」



「そうそう、坂下先生ってさ…。

11月にいきなり、3年の担任降りたいって言ったらしいよ。」



え!?



「そんなこと言い出した後、ずっと休んでるでしょ?

入院したかなー?って思って、病院どこか探り入れたんだけど…ヒットしないんだよね。

ワカは書道部でしょ、何か聞いてない?」



私は、首を横に振った。



「坂下が担任降りるなんて話も、聞いたことないし…。」



「そっかぁ、ワカなら知ってると思ったのにな…。」



深夏は眉間にシワを寄せると、グレープフルーツジュースを飲み干した。



何で、私なら知ってると思ったのかな?



「鬼マサは?

坂下HRの副担任なんだから、絶対知ってるはずだよ。」



「蒼先生はダメ、スッゴく口堅い。

でさ、担任降りたいって話もあるから、疑っちゃうんだよね…。」



「疑うって、何を?」



「心療系の病気。」



坂下が最初に激しい咳をしたのは、和歌ちゃんと私の関係を知った時…。



やはり坂下にとって、私はストレス…?