修学旅行から戻った私はお土産を渡そうと、坂下の元へ向かった。




京都では、坂下に教えてもらった縁切りの神社でしっかりお参りしてきた。



自分の婚約解消と、坂下の離婚も願ってしまった。



別に、父と坂下の奥さんをくっつけたいってワケじゃない。



今のままじゃ、坂下が幸せだと思えなかったから…。





職員室にいるとばかり思っていたのに、いなかった。





1年の時に仲良くしてたみんなと、縁結びの神社にも行った。



だけど、そこでは何も願えなかった。



自分が坂下と…なんて、到底無理だし。



私がいくら坂下のことを想ったところで、坂下にとって私は身代わりでしかないもの。





部室も見たけど、いなかった。



何処に、行ったんだろ?



屋上前の階段で佇んでいたら、蒼が通りかかった。



「鬼マサ、先生見かけなかった?」



「坂下先生なら、桐生が旅行に行った日から休んでる。」



「どこか、悪いの?」



「さあ?具合悪いって話、聞いたことないけど。」



「でも、ここ最近は咳ばかりしてたし。」



「咳?聞いたこともないけどな。」



あんなに激しい咳、聞いたことないの?



「私なんか、会う度に見るんだけど…。」




咳の原因が、私に対するストレス…なんてことは…。



あるの、かな?



だとしたら、顔を合わせない方が良いのかもしれない。



「鬼マサ、これを先生に渡してくれる?」



早く坂下の咳が治まるようにと買った御守りを、蒼に手渡した。