「これから会議を行いますので、申し訳ありません。」



坂下が、私と深夏の肩をポンッと軽く叩いた。



私は条件反射とでもいうのか、坂下の手を乱暴に振りほどいた。



振り返ると、坂下は悲しそうな表情をしていた。



私はそれに構わず、深夏を連れて職員室を出た。



「ワカ、セーラーの襟に何か付いてる。」



廊下に出たとこで、深夏が私の肩に手を伸ばした。



見ると…『Angelina』という、横文字が書かれた付箋だった。



「エンジェル…じゃないし、何て読むんだろ?」



「鬼マサ、いつの間に?」



「さっき、私たちの肩叩いてた先生の仕業じゃないかな?」



坂下…が?



「私たちの会話聞いて、こっそりヒントくれるなんて良い先生だねー。」



あの坂下が、良い先生?



私はそんなの認めない、絶対に…。