私の出番は、午前中の玉入れだけ。



それさえも、練習じゃ一度も籠に入ったことがない。



「桐生ちゃん、入れられなくても良いよ。

参加することに意義があるんだから。」



3年の応援団の方々は、優しい言葉をかけてくれる。



悪く捉えるなら、端から戦力外って言われてるようなものだけど。



ピストルの音で、競技が始まった。



籠を目掛けて投げるものの、悉く籠から弾かれる。



練習では、よく味方の後頭部に当てて怒られてた。



「謝るのは後、とにかく投げろ!」



そう言われ続けたけど…。



ツインテールの彼女…もといアークエンジェルが、後頭部をさすりながら振り向いた。



よそのチームの先輩に当てちゃった場合、謝るべき…だよね。



私は手を合わせ、頭を下げる。



「いちいち謝らない!」



味方が私の腕を引っ張るから、中途半端になってしまった。



しまいには、籠に向かって思いっきり投げた玉が弾かれて隣のチームの籠に入っちゃうし…。



戦力外どころか、戦力“害”だ。



それが終了直前だったから目立ち、数えている時に放送部から



「青組の籠に、ナゼか赤い玉が入ってましたね。(笑)」



って、突っ込まれた。



退場門をくぐった私は、待ち構えてた担任に散々罵倒された。



あの1個で負けたんだから、当然か…。



この体育教師は、絶対優勝!を目標に掲げてるから、私にしてみたらハタ迷惑でしかない。



自分の応援席に戻る気になれない私は、青組の応援席に向かった。