私が駆けつけた時には、野田先輩は床に転がっていた。



何があったのかよく分からないうちに、警備員が私の横をすり抜けて騒いでる男を連れて行く。



足元に白いボタンが落ちてたので拾い、何のボタンか周りを見渡すと、制服のブラウスだと分かった。



揉み合いになったのか、翠子の襟元から3つもボタンが無くなっていた。



私は自分のスカーフを外し、翠子の胸元を隠すように蝶結びにした。



「ボタンは私が探すから、翠子さんは先輩に付き添ってあげて。」



私が声をかけると、翠子は頷き、野田先輩と一緒に保健室に行った。



ボタンは他の生徒たちも一緒になって探してくれて、すぐに見つかったので、私も翠子たちのもとへ向かう。



保健室の前には、翠子を心配して集まってるのか10数人の生徒が屯していた。



大勢押しかけては迷惑だからと、誰が代表で入るか話し合ってる最中。



図々しく中に入るのも悪い気がして、出直そうかと思った時、私に気づいた生徒が声をかけた。



「翠子様と中にいらっしゃる男子に、渡していただけるかしら?」



そう言って差し出してきた紙袋の中身は、沢山のお見舞いのお菓子。



「確かに、ローザリー様を差し置くわけにはいきませんわね。」



誰かのセリフに、みんなが頷く。



生徒会室でも耳にした、ローザリー様って…私!?