生徒会室に向かい、野田先輩がドアを開けて声をかけた。



「翠子、いる?」



その瞬間、室内がざわめきだす。



「いきなり先輩が話しかけたら、みんなびっくりするって…。

私たち、翠子さんにお招き頂いたので挨拶に来ました。」



野田先輩を押しのけ、手を振りながら顔を出した。



だけど、ざわめきが一層酷くなった。



どうやら翠子は留守で、中には10人程の生徒がいたけど、誰が私たちの受け答えをするか押し付け合ってるようだった。



見たところ、立場の弱そうな1年の生徒が前に押し出された。



「みっ…翠子様でしたら、所用で出かけています。」



「じゃあ、また後で来るか?」



野田先輩が私に言うと、前に出た生徒が



「すぐに戻りますので、どうぞお掛けください。」



そう言うので、座って待つことにした。



目の前に和菓子が出され、勧められるままにいただく。



楊枝で一口大に切っていると、野田先輩が菓子を手掴みで口の中に放り込んだ。



当然、周りのお嬢様たちが目を剥く。



「ちょっと先輩…。」



窘めようとした途端、野田先輩が和菓子を喉に詰まらせた。



「ごめん、水!」



急いで持ってきて貰った水を、飲み干した野田先輩は…。



「あー、窒息するかと思った…。」



なんて、言ってた。