「悪いけど、ここに学校名と名前書いてくれるかな?

一応、決まりだから…。」



…はい?



まぁ、書けっていうなら書くけど…。



私が鉛筆でさらっと書くと、野田先輩は



「桐生は達筆だから、隣に名前書くのやだなー。」



なんて言ってた。




「つべこべ言わずに、さっさと書く!

これも、練習だと思えば良いでしょ?」



いつまでもこんなとこにいたら、足止めされてるみたいじゃん。



野田先輩が書いてる間、警備員が話しかけてきた。



「2人とも制服だから、すぐ分かったよ。

黄金さんから、迎えに行けなくて申し訳ないって…。」



本来は、入場券を渡した生徒が迎えに来ないと入れないらしい。



「生徒会長だから、空き時間無いんだろうね…。」



「ええっ!?」



そんな声をあげたのは、野田先輩。



「彼氏のくせに、何も聞いてないワケ!?」



翠子が生徒会長なのも驚いたけど、それを知らなかった野田先輩にびっくりだよ…。



「大体、翠子が自分から生徒会長やってるなんて言うかよ?」



言わない…だろうね。



おそらく生徒会室にいるだろうということだったので、警備員に場所を教えて貰って向かった。