お盆過ぎると、夏も終わりなんだな…って感じる。



昼前に学校から戻ってきた私と入れ違いに家族は出掛け、通いのお手伝いさんは夏休みを取っているから、家には私しかいない。



勉強が一段落した私は、庭に出た。



垣根の隙間から外を見ると、制服の女子高生が中を窺うようにしている。



いつから、居たんだろ?



知らないコだったら無視したけど、一方的とはいえ知ってるから声をかけた。



「黄金翠子(コガネ・ミドリコ)…だよね?

暑いし、中入りなよ。」



目を丸くした翠子を自分の部屋に通し、麦茶を出した。



日傘を差していたとはいえ、炎天下の中でもダレることがない彼女。



生まれながらにしての、お姫様だと感じた。



「何で、ウチに?」



「申し訳ありません。

何度か優さんと一緒に歩いているのをお見かけして、後をつけてしまいました…。」



翠子はそう言うと、頭を下げた。



文化祭のステージパフォーマンスが決まってからというもの、野田先輩の練習にほぼ毎日付き合ってきた。



単に帰り道が途中まで一緒とはいえ、自分の彼氏が他の女と歩いてたら不安になるに決まってる。



野田先輩とは何でもないと言ったところで、不安は拭えるものじゃない。



とにかく、翠子を安心させたかった。