泣き疲れて、いつの間にか眠ってたらしい。



畳の上に本を平積みしておくわけにもいかず、使いやすいように整頓しながら本棚に移す。



その中にある冊子が、私の目に留まった。



何だろう?って思いながら、軽い気持ちで開いた。



これ、日記だ…!



読んじゃダメだって分かっていても、好奇心には勝てない。



あのお兄ちゃんが日記をつけてたのは意外だったけど、その中身にはもっと驚かされた。



“罪の子”という言葉が、度々出てくる。



お兄ちゃんが、ジイサンと母の間にできた子って…。



それって…、ええーっ!?



読み進めていくうちに、父もそれを知ってるんじゃないかと思えてきた。



よく考えてみれば、いくら父が婿養子だからって、常に自分の子供に遠慮するような態度はおかしい。



父にしてみれば当然だけど、その愛情を私だけに注ぐのだから、お兄ちゃんにはそれが羨ましかったみたい。



お兄ちゃんには手に入れられないものは無いと思っていたけど、本当に欲しかったものは手に入れられなかったんだ。



ずっとお兄ちゃんのことを冷たい人だと思ってたけど、ホントは自分の気持ちを表すのが苦手なだけ。



私が、自分のことばかりを嘆いてなければ…。



お兄ちゃんが生きてるうちに、お互いのことをもっと分かり合えたんじゃないかと思った。