こじ開けられたジッパーから、指を入れられようとしてる。



こんな奴に触られるのは、まっぴら。



それに、今ヤられたら妊娠する可能性も…ある。



私は、必死になって抵抗する。



指をジッパーの中に入れられるとこで、その手が止まった。



出かけてたはずの父が部屋に乗り込んできて、書生の腕を掴んで捻り上げたからだ。



「若菜ちゃんが高校生のうちは、手を出すなと言ったはずだろう!」



書生はその手を振り解くと、この場から去った。



「若菜ちゃん、怖かったね。」



そう言いながら、抱きしめてヨシヨシなんて頭を撫でてくる。



助けてもらっておいて悪いけど、父にこういうことされたくない。



また、愛人と会ってたでしょ?



香水の匂いで、すぐに分かる。



「離れて。」



私が言うと、父は頭を掻いた。



「若菜ちゃんはもう高校生だし、お父さんに頭撫でられるの…恥ずかしいよね。」



私が黙ったまま俯くと、父は淋しそうな顔をした。



「お父さん、靴のまま上がり込んじゃったから怒られちゃうな…。」



そう言いながら、私の部屋を出た。



部屋に1人残された私は、坂下の抱きしめてくれる腕や頭を撫でてくれる手の温もりが恋しくて…。



「パパぁ…。」



恋しくて、涙が溢れた。