「複製で良いんだけど、絵も書も高いんだよなー。」



ネットで買うつもりでいたのか、マスターが呟いた。



パソコンを覗き込むと、ジイサンと父の作品が載っていた。



「あ…。」



私の微かな声を、夏目は聞き取ったみたいで…。



「まさか、ここに載ってるのゲットできるのか?」



できないことは無いけど、結婚を引き換えにされそうだから絶対に頼みたくない。



私は夏目の問いかけには答えず、マスターに話しかけた。



「絵は無理でも、書くらい自分で書いたら?」



「お前ね…書くらいって言うけど、マスターの芸術センスは絶望的だよ。」



夏目の言葉に、マスターは苦笑するだけだった。



さっきのジイサンたちの書の話を、蒸し返されたくなかった私は…。



「ちょっと、行ってくる。」



って、喫茶店を後にした。