靴を履き替えていたとき、深夏が声をかけた。



「ワカ、こんな時間に学校来るって…サボり?」



いや、今から帰るとこ。



私は、曖昧に微笑む。



「何か、あった?」



確かに深夏は友達だけど、悩みを打ち明けるほどの仲じゃない。



ってか、そういうの言えるコなんて、私の周りにいない。



心の中身を聞いてもらえれば、私は楽になれるかな?



だけど、深夏はどう思う?



退いたりして…。



それに、ありすぎて何から言えばいいのか分からないよ…。



「桐生、休みだったはずだろう?」



蒼と一緒にいた担任に話しかけられたので、マフラーを掲げて言った。



「忘れ物したから…。」



「それ、男物だろ?彼氏でもできたか?」



「鬼マサ、これお兄ちゃんのだよ。

痕があるから、巻いてあげ…。」



首を指差しながら答えると、担任が割って入った。



「桐生、早く帰った方が良い。」



まるで、ここから追い出すかのようなカンジを受けた。