「ワカ!」



声のほうに視線を向けると、2階の窓から坂下がこっちを見ていた。



「すぐに向かいます。」



坂下は窓を閉めると、10秒もしないうちに玄関を開けた。



「ワカ、何故ここへいらしたのですか?」



「先生を見習って頑張ろうと思ったんだけど、ダメだった…。」



私はそう言うと、俯いた。



「寒いですから、中に入りなさい。」



坂下は私の肩に手を添え、家の中へ入れてくれた。



「あの…ごめんね?

家族と過ごすって言ってたのに、邪魔しちゃって…。」



「いえ、構いません。

実は、私も…ワカと一緒なのですから。

結局、今年もこの家で1人きりで過ごすことになってしまいました。」



坂下は淋しそうな表情のまま、笑みを浮かべる。



「ワカさえよろしければ、此処で夕飯を食べていきませんか?

前に、ご飯を一緒に作る約束もしていたことですし…。」



「良いの!?」



「勿論です。

ピザとフライドチキン、それとケーキも作りましょう。」



「作り方、教えてね。」



「ええ。」



そう言うと、坂下は私の頭を撫でてくれた。