街を歩いていると、周りのみんなが楽しそうに見えた。



家族連れとか、友達同士とか、恋人たち…。



1人あてもなく歩いてるのは、私だけだ。



それに気づくと、なんとなく嫌になって近くのデパートに足を踏み入れた。



買い物なんてする気、無いのに…。



ひと回りしたら帰ろうか…なんて思った時、私の頭の中である考えが浮かんだ。



『ラッピング承ります』



その文字を見て、坂下にプレゼントを買おうと思った。



とはいえ、私のお小遣いで買えるのは…ハンカチ程度なんだけど。



私は30分以上かけて、坂下に似合う色と柄を選んだ。



ラッピングをお願いするとサービスなのか、クリスマスカードまで付けてくれた。



『大好きなパパへ

 メリークリスマス!

      ワカより』



メッセージをペンで書くと、プレゼントに添える。



まだ家に帰る気分じゃなかったのと、今度の部活まで待てなくて…。



私はその足で、坂下の家へと急いだ。



坂下の家の前に着いてから、そこで初めてどうやって渡そうかと思った。



坂下は家族で過ごすって言ってたもんなぁ…、お邪魔するわけにはいかないよね。



郵便受けに入れておこうか…。



あ、私…坂下のことを『パパ』って書いてるから、マズイよね。



どうしよう、ひき返そうか…。



ああっ、私の馬鹿!



行動起こす前に、もっと考えるべきだった。



頭の中でまとまらない考えがぐるぐる回っていると、頭の上から声が聞こえた。