「マキ…まだ暮らし始めた頃、俺がこの部屋で言った言葉を覚えてる?」

「うん…」



『禁断ってやつに手出してみる…?』



とても印象に残る言葉だった記憶がある。

あの時はその意味を理解していなかったが、今ならよくわかる。


「マキは義妹で、しかも自分の生徒で、絶対に手を出さないって決めてたのに」

「……」


手を出された後にこんな話ですか。

私はその胸に顔を埋めながら耳を傾ける。


「きっと…あの時点でもうマキに惚れていたのかもしれないな」


さらりと、私の髪の毛を梳く。

私だってきっとそうだよ。

最初に准一さんを見かけた合格発表の日。

あの時点でもしかしたら惹かれていたのかもしれない。



強引でちょっと俺様、私のことになるとうるさくてそれでいて優しい。

私はどんな人であろうと、准一さんを好きになったのには変わりないだろう。

義兄と理事長、義妹と生徒という二つの交わってはいけないモラルに反した禁忌の中、運命で結ばれた。

私達の恋愛はまだまだ始まったばかり。



【END】

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2018.8.6 紬 響華