うちのアパートでタコパなんて絶対嫌だ。
だって、それじゃあ今日は交番に行けないし!


蓮見さんに会えないなんて、そんなの何のために仕事を頑張ってるんだって話だ。



そんな私の気持ちなんて1mmも考えてくれない藤沢は、にこやかに、そして『心配しないで』とでも言いたげに、



「たこ焼き器ならちゃんと持ってきたから任せて」



なーんて、高らかに親指を立てて見せた。


いやいや。
なんで持ってきてんだよ、重いだろうに。
どんな気合いなの、それ。


てか、予定あるかもしれないんだから事前に確認しようよ。



……はぁ。



なんか、もう疲れた。
私の顔に『諦め』を感じたらしい生田はニヤッと口角をあげて、藤沢はたこ焼き器を持ってきた事がとんでもなく凄いことであるかのようにドヤ顔している。


そんな2人を多少呆れながらも、ニコニコ楽しそうに話の行方を見守っているのが同期の中で唯一の大卒である宮川(みやかわ)くんこと、通称ミヤ。


チャラ男の生田と、KY藤沢、ニコニコしながら毒突くミヤ。なんつーメンツだよ。


この男3人にプラス、ツンデレ代表の麗奈と私

この5人が同期の中でも割と仲のいいメンツだったりするんだけど、1人1人の癖が強すぎて……なんで仲が良いのか考えれば考えるほど分からない。


そして、この場にはいないものの……きっと麗奈のことだから『いいじゃん、楽しそう』なんて乗り気でタコパに賛同するのが目に見えてるから


私がいくら足掻いたって無駄なことくらい、馬鹿な私にも分かってる。つまり、完全なる私の負けだ。