聞きたいのに、喉が上手く声を発してくれない。



「は、蓮見さん」


「うるせー、クソガキ。早く入って寝ろ」



警察官のくせに、口悪すぎませんか?
警察官のくせに、制服着崩しすぎじゃありませんか?


───警察官のくせに、思わせぶりですよ。


もっと、白黒つけてください。
じゃないとストーカーは、付け上がります。


もっと、もっと、蓮見さんに近づきたくて。



じゃないとクソガキは、見栄張って背伸びします。


もっと、もっと、蓮見さんを近くに感じたくて。



男心は全然分からない。このままじゃ理解できないまま迷宮入りしてしまいそう。ううん、男心は分からなくてもいい、私が知りたいのは蓮見さんの心だけだ。


私の呼び掛けに1度だけ振り返った蓮見さんの顔は、薄暗くてよく見えなかったけれど、その口元は少しだけ微笑んでいたような気がして、またトクンと疼く胸。



「だめだ、今日は眠れないかもしれない」



交番とアパートはこんなにも近いのに、
交番勤務の蓮見さんと、アパート暮らしの私の距離は、


中々思うように縮まらない。



角を曲がっていく蓮見さんを見届けながら、もうこの際、ミニチュア蓮見は諦めるとして……


最近可愛さに一目惚れして買ったくまさんのマスコットに『和弥』と命名するのは、気持ち悪いかな?


って、本当にストーカーになりそうで自分が自分で怖い今日この頃です。