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 秋真っ盛りのお日様はまるで僕たちの恋仲を温めるかのように暖かい。

 
 僕と早紀は並んで歩きながら、今日一緒に受けた岩島の授業について話していた。


「あいつの話、相変わらず訳分かんねえし、つまんねえよな?」


「ええ。あたしも一番前の席に座って、ノート取ってたんだけど、もう少しで居眠りするところだったわ」


「そう。やっぱ面白くねえだろ?」


「うん、つまんない。でも、あれ、文学部の学生は皆必修だからね。絶対落とせないし」


「だよな?君さ、ノートどのぐらい取ってる?」


「うん。大体全部。試験受けるときも、これだけやっとけば大丈夫ってぐらいね」


「皆、君のノート欲しがると思うよ。特に俺みたいな男が何人かいるからな。次は後期試験だから、来年一月か……」
 

 僕は言葉尻に含みを残しながらそう言い、言った後、


「俺も君のノート、借りるつもりだから」