僕がそう言うと、早紀が、


「うん」


 と頷く。


 十月とあってか、アパートの窓から見える月が綺麗だ。


 僕も早紀もそれにじっと見入っていた。


 やがて、早紀が辺りの寒気ですっかり冷めてしまったホットコーヒーを流しに持っていき、代わりにお酒の入ったビンを持ってきた。


「今夜は二人で飲みながらお月見」


「ああ」


 僕たちが頷き合うと、楽しい月見の時間が始まった。


 僕も早紀もゆっくりと部屋から黄色い月を眺め始める。


 幾分も陰りがない真ん丸い月が美しい。


 時間が流れ、やがて二人してすっかり酔っ払ってしまった頃、僕たちは二人で一緒のベッドに横になっていた。