シャワーを浴びてしまった僕は、早紀から洗濯・乾燥済みのタオルを借りて、濡れていた髪や体を拭いた。


 そして互いに体に水滴が一滴も残らないぐらい綺麗に乾かしてしまうと、リビングへと移動する。


 僕は風呂場から出てくるとき、思わず早紀の体の匂いを嗅いでしまう。


 シャンプーとボディーソープの残り香が体臭と混じり、絶えず漂ってきて、僕はどこかしら照れ臭くなる。


 ゆっくりと呼吸を繰り返した僕は、改めて鼻腔に残った彼女の匂いを愛おしく思った。


 そう、僕にとってこの瞬間が一番幸せなのだ。
 

 僕たち二人は揃ってリビングへ移動すると、早紀が、


「真二、何か飲む?」


 と訊いてきた。


「ああ。じゃあ、俺、アイスコーヒー」


「冷たいままでいいの?」