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「真二、シチュー出来たわよ」


「ああ、ありがとう」


 僕が早紀から了解を得ずに使っていたノートパソコンから目を上げ、頷いてみせる。


 彼女はキッチンからリビングに熱々のシチュー鍋を持ってきて、


「自分で言うのもなんだけど、結構美味しいと思うわ」


 と言った。


 冷える季節はやはり温かい食べ物がいい。


 パソコンは何もしないで放っておいても、自動的にセーフモードへと入ってしまうようだ。


 僕はパソコンが置いてある机からゆっくりとリビングのテーブルへ移動した。


 早紀はいろんなことに興味を持っているようだったが、中でもお香を焚(た)くことが一番の趣味のようで、部屋にはその手のロウソクが何本か置いてある。


 彼女はそのうちの一本に火を点けて、アロマセラピータイムを楽しみ出す。