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 暑く暑く、まるで蒸すような夏が終わって、秋の涼しい風が吹き始めた頃。

 
 僕と早紀はほぼ横一線に並んで、自分たちが住む田舎町の目抜き通りを歩いた。

 
 僕が幾分早足で歩き、やや後から早紀が「ハアハア」と息を荒げながら付いてくる。


「ちょっと、真二」


「何だよ?」


「早すぎるよ。あたし、体小さいし、普段運動不足だからすぐに息上がっちゃうの」


「ごめんな。俺、いつも早足なんだ。毎日、キャンパスまで急ぎ足で歩いていくからな」


「少しはあたしのこと考えてよ。もう」


 早紀が心の中にある気持ちを出してしまったらしく、むくれる。


 僕はそのむくれ方が可愛いと思った。


 僕たちは今日の一限目にある講義に出席して、授業が終わった後、二人で町の中にある全国チェーンのハンバーガーショップに少し早いお昼ごはんを食べに出かけていた。


 そう、その日は僕がただでさえ寝起きの悪い早紀にモーニングコールを入れるところか