暖かい温もり。
心地良いテンポの鼓動の音。

そして……。
いつも服の上から見ただけじゃ分からなかったけど、逞しい胸板。


「……バロン、着痩せするんだね」

「アカリはもう少し柔らかい方がいいね。
必要な部分がさ」

「ッ〜〜!?
もうっ、バロンッ……!」

意地悪そうに彼の身体がククッと言う笑い声と共に揺れた。
でも、ムッとして顔を上げると……。

そこには私の大好きな笑顔があった。


ーー好き。


「バロン、ありがとう。
ここに、来てくれて……。
生まれてきてくれて、ありがとう!」

そう言った私を、バロンは少し驚いた表情で見つめていて……。
暫くして、優しい笑顔を返してくれた。


出逢えた奇跡に、ありがとう。


翌日、バロンは私の召使いに戻った。

私の誕生日まで、あと約三ヶ月……。