これ以上惚れさせてどうするつもりなのか。



「……水口は?」


「アイツより島谷のほうが大事」



……ほう。



逃げようと思って聞いたのに、余計恥ずかしくなった。



「水口いなくなってる」



振り向いたら、水口はどこにもいなかった。



「帰ったよ。わざわざ俺らに引っ付いてくるようなことしないだろ」



ほんの一瞬だったのにそれで姿がないって、走って帰ったのか。



まあ、来られたら来られたで邪魔だったから、どうでもいいけど。



「なあ、本当にバスケやんねーとダメ?」



歩き始めてすぐ、聞かれた。



「だって……」



井下はその続きを待っている。



言わないといけないやつだよ……



「……かっこいいとこ、見たい」



顔を逸らし、小声で答えた。



でも井下は聞き取ったみたいで、私の頭を軽く叩いた。



「任せろ」



井下は得意気に口角を上げた。



あー……かっこいい。



これはクラスマッチの活躍に期待、してしまいます。