神龍がいなくなった後、レインは龍の谷を出ることにした。

「……長老様。四年間、本当にありがとうございました」

『うむ……寂しくなるな』

レインは長老に挨拶をすると、谷の外まで送ってくれると言ったティアの元へと向かう。

そして、龍の谷の外の森へと下ろして貰うと、レインはティアを見上げた。

娘同然に育てたティアと離れるのは、本当は凄く寂しくて辛かった。

『……レイン』

「ティア。元気でね?……ゼイルやアル達と、どうか幸せにね」

アルはこの龍の谷で育ってきた。だから、アルまで谷の外で暮らす必要はない。

レインはアルに声をかけるべきか迷い、けれども、何も言わずに去ることを選んだ。

(……でも、どうしてかな……本当は、アルに側に居てほしい)

どうしてそう思うのか、レインにはまだ良く分からなかった。

「じゃあ、もう戻って―」

「馬鹿」

「え?」