そして、アルの言葉の意味を理解しても、レインはアルのくれる熱と言葉に、胸の奥から幸せが沸き上がるのを感じた。

そして、彼女達の間には、彼女にそっくりな娘が生まれ、彼女の意思はその子へと受け継がれている。

そして、いつの日か。この世界に再び龍と人が共に暮らす未来を夢見て、六十才で彼女はこの世からいなくなった。

「と、これが私のお母さんのお話よ」

「私のお婆ちゃんのお話ね?」

尋ね返した少女に、女性は微笑んだ。

「そう。……私の代でも、まだ龍と人が共に暮らす方法を見付けられなかったけど、でもきっと貴女なら見付けられる」

人と龍の間に生まれた溝は、思ったよりも深かった。

それでも、女性は母と同じように、諦めない強い意思を持っていた。

「うん!」

そして、レインの意思を継いだ子供達のお話は、またどこかで紡がれるかもしれない。

物語は、何度も終わり、そしてまた始まるのだから。