「私、舞に言ってんだけど?」 だんだん、わかってきた。 「俺には?何か話すことある?」 楠木くんには、冷たく接するのが一番かもしれない。 「ううん、全然ない。」 きっぱりと言い放った。 それを見かねた舞が、人混みの中から外れた。 私がそれに気づいたのは五分後。 「舞、りんご飴の屋台、今年少なくない?」 そう聞いても、返事は返ってこない。 「……舞?」 楠木くんの隣にいるはずの友達がいない。 「楠木くん、舞は?」