掃除の時間が長かったのか、教室に行くと誰もいなかった。
那音のかばんが机の上に置かれているのを見て、帰っていないことに安堵する。
いよいよ、か。
大丈夫、落ち着け、私。
昨日、何度も家で練習したじゃん。
少しでも心を落ち着かせるために、窓辺に行って窓を開ける。
大丈夫…
那音は、そういう人じゃない。
鼓動がどんどん早くなっているのが、自分でもわかる。
「教室って、こんなに静かなんだ。」
そのせいか、心臓の音が教室中に響き渡っているような感じがする。
きっと、テストを受けてるときより静かに違いない。

