重い気分のまま、学祭当日を迎えた。

 華やかな校舎の外装とは一転、反比例したままの気持ちを抱えながら教室に入ると、女子たちにぶわっと取り囲まれる。

「おっはよ、三神! アンタにかかってるんだからね、ヨロシク!」

 他にも様々な声をかけてくれたのだが、頷く以外に何もできない。マジで無力そのものだ。

「制服のままじゃ迫力ないし見た目も勿体ないから、三神の格好よさが出るように演劇部から衣装を借りてきた。さっそく羽織ってみてよ」

 手渡されたものは、くるぶしまである真っ黒なマント。ドラキュラ役にでも使っていたのかな? しかしこれを羽織ってみても、エセ霊能者感が2割り増しになっただけのような気がする。

(正直なところ気落ちしたままだったけど、学祭のためにこうしていろいろ手を尽くしてくれたことに、ちゃんと感謝しないとな――)

 メガネを外して振り返り、にっこりと微笑んでみた。

「ちょっ、三神ってば……その目どうしたの?」

「コンタクト入れてみた。どうかな?」

 本当はメガネを外すと、霊能者の証である黒目が赤くなっているだけなんだ。

「うっわー。その格好でオバケ屋敷に立たれたら、超恐怖モンだわ」

「だけどそれなりの感じ、何となくだけど出てるんじゃない?」

 きゃーきゃー盛り上がっているところに、クラスの男子も登校して来て、更に盛り上がって行った。みんながこうして一体となり何かをするって、結構楽しいことなのかもしれない。今までは遠巻きで参加していただけだから、直接体験してみて分かることもあるんだな。

「神さま仏さま、三神様! 今日と明日はたくさんお客さんが来るように、よろしくお願いします!」

 ふざけた岡田がはは~と言いながら平伏すと、隣にいた鈴木も同じように真似をする。そんな俺たちの姿を面白がって、スマホをかざしてくるヤツなど、既に学祭が始まった感じだ。

 願わくば母親が悪霊を大量に引き連れて、学校にやって来ませんようにということと、変な霊を連れたお客さんが来ないようにだな。

 そして大きな花火が打ち上げられ、午前10時から開催された祭り。

 流れ込むようなことはなかったけど、それなりにお客さんが来た。主に女子が中心になって来てくれた。他にも興味にそそられた男子も顔を出してくれたお蔭で、それなりに大盛況だった2日間。

 背後に霊がいるか視るだけじゃなく、心霊写真の鑑定依頼をちゃっかり受けたり、呪われているかもしれない思い出の物を視たり。自分が対処のできないものはきちんと持ち帰って、母親の指導の下で処理をすることにした。

 半人前ながら完璧とはいかないけれども、最初に感じていた不安が途中からなくなった関係で、きちんと仕事を全うできたと思う。

 しかも嬉しいのはそれだけじゃなく、他のクラスがやっていないという企画でめでたく最優秀企画賞を戴き、学年末に行われるお楽しみ会を、理事長に全額負担してもらえることになった。