タイムマシンはいらない。




強いお酒を飲んでも片時も頭から消えなかったのに

岸本が何度も私を求めるから 

私を離さないようにきつく何度も抱きしめるから

考えている暇なんてなくて

岸本の熱さで、全部の苦しさが溶けていった。


気づくとカーテンの外が明るくなっていた。鳥のさえずりが聞こえて、私は目を開ける。


「おはようございます」


その瞬間、横で寝ていた岸本と目が合って、どうやら私よりも先に目覚めていたらしい。


ベッドの横には脱ぎ捨てられた洋服。そして当然、私たちはなにも着ていない。

あんなに激しく求め合ったのに、岸本の裸を直視できなくて、私は胸元を布団で隠しながら洋服を手に取る。


岸本に背中を向けながら、そそくさと着替えている私の様子を、きっと岸本はじっと見ている。だって、後ろから太陽よりも熱い視線。


「実咲さん、昨日のこと覚えてます?」

「お、覚えてるよ」

忘れるわけない。むしろ、忘れられない夜にしたのは、岸本のほうだ。