嘘つきピエロは息をしていない

「……全然そんなことないよ? ケンカみたいなやりとりばかりしてきたような気がするし」
「喧嘩?」
「内藤くん、いっちゃんには礼儀正しいけど私にはちょっとイジワルなんだよ」

 これくらい明かしてもいいよね。

 ちょっとどころじゃないけど、あまり言い過ぎるとナイキくんに怒られそうだからこのくらいにしておこう。

「もしかして。付き合ってる?」
「え!? ま、まさか!」

 今の話の流れでそうはならないでしょ!?

「本当かな」
「当たり前……! ここで嘘つく意味ないし!」
「俺はきりと付き合い長いけど喧嘩したことないな」

 それはいっちゃんが、優しくて、大人で。

 喧嘩する原因が一つもないからで。

「だったらいいか」

 ――?

 信号で立ち止まり、いっちゃんが私をニッコリ笑って見下ろしてくる。

「いっちゃん……?」
「きり。俺と付き合おう」