嘘つきピエロは息をしていない



 ――“過干渉”

 物心ついた頃から、友達と遊ばせてもらえなかった。

 自由研究の一環でどうしても出かけなきゃならない用事があり学校以外の場所に行くときなんかは、正確な場所と、誰と行くか、その相手の連絡先を書かされた。

 もっとも、どこもかしこも、母さんがついてくることの方が多かったが。

『内貴ってマザコンだよな』
『お前のかあちゃんウザくね?』

 そう言われて初めて、母さんの言動に違和を感じ始めた。

 のちに、恐怖さえ抱いた。

 常に俺は監視されていた。

 そのたびに自分に言い聞かせてきたのは

『育ててもらってるのだから』
『親に心配をかけてはならない』

 ということだった。

 そう考えると母さんの言いつけは守らなければ、という気にさせられたし、それが今でも正解なのだと思っている。

 俺を縛り付けるとき、決まって母さんは

『たっくんが、大切だから』
『たっくんのことを愛しているから』
『たっくんに幸せになって欲しいから』

 と言う。