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「カンパーイ!」
学園祭の打ち上げは、保先生の家で行われた。
合宿もここであったのだけれど(宿泊費を浮かせることができてみんな凄く助かっていた)、先生って一人暮らしなのにお屋敷みたいなとこに住んでて本当にビックリだ。
そんなに芸術家って儲かるのかなっていっちゃんに聞いたら、
「たもっちゃんはコアなファンがいるからな。作品の単価が相当に高いよ」
と言っていた。
客間でジュースの入ったグラス片手に盛り上がる。
「マックスおかわり」
「飲み過ぎだろう」
「問題ねぇよ。ここ、俺の家だし。こんくらいで酔わねーし。じゃんじゃん持ってきたまえ」
「ほんと人使い荒いなお前」
「お前? ご主人様だろう?」
「……いつかコロス」
実はナイキくんは、この家に居候中だ。
施設で暮らすのを嫌がったナイキくんを保先生が引き取った。
ナイキくんのお母さんは、今、入院している。
ボールペンを使うのさえ許可のいる病棟で社会復帰するために――ナイキくんとまた暮らせるようになるために、頑張っているんだ。
口は悪いけどナイキくんは保先生に本当に感謝しているし、すごくあの二人は仲がいい。
……家族みたいに。


