――どうでも……いい?

「俺、忙しいんだ。お遊びに付き合ってる暇ねぇわ」

 オアソビ?

「部活に青春を捧げるとか、くだらねーんだよ」

 クダラナイ?

「俺を巻き込むな」
「…………」
「なに立ち止まってんだよ。さっさと歩け――」
「見損なった」

 ――見損なったよ、ナイキくん

「は?」
「嫌なことを嫌だとハッキリ言う性格は嫌いじゃないよ。でも、人が真剣に向き合ってることをバカにするのは、どうかと思う」

 ナイキくんにとったらお遊びに見えるかもしれない。

 くだらないことなのかも、しれない。

 それでも。

「私は、演劇の世界に魅了されて、そこに入った。胸張って青春を捧げるつもり。それを、ナイキくんに否定されたくなんかない」
「……吉川」

『サヨナラ』

 そう言い放ち、ナイキくんから逃げるように走って帰った。

 悔しい。

 悔しい……!!

 ちょっとでも素敵とか、期待できるとか、考えた自分がバカみたい。

「嫌なやつ……なんて嫌なやつ!」

 もう、二度とナイキくんの顔なんてみたくない――。