――逃げたい
でも、逃げようが……ない。
「やだっ。やめて、」
来ないで。
お願い。
「はは。そういう反応、たまらねーな」
「あとで代われよ?」
「わかってる」
ぎゅっと目を閉じた。
そして――大きく息を吸い、叫んだ。
「丸眼鏡くんのバカ……!!」
絶対私のこと避けて帰ったよね。
話くらい聞いてくれたっていいじゃん。
「まだ叫ぶ元気あんのか」
「先にちょっと怖がらせちゃう?」
きっと、これが私の運命だ。
そう考えたとき、諦めに近い、どうしようもなくやるせない気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「――誰がバカだって?」
ドスッ、という鈍い音がした。
瞼を開けると、金髪が地面に倒れ込んでいて。
目の前には――丸眼鏡くんが立っている。
「助けに来たヒーローに向かってバカはないだろ」
「なん……で」
帰ったんじゃないの?
「お前さぁ。手のかかるストーカーだな?」