嘘つきピエロは息をしていない


 あの人には世話になりっぱなしだ。

 実の親なんかよりもずっと。

「そんなお前のことよく思わないヤツらに潰されかけてたってわけか」
「……え?」

 それは違う。

 俺は、他の後輩たちと同じように娯楽に付き合わされただけで。

 いや、でも。

 社長の後ろ盾もありトントン拍子に仕事とってる俺を榊が気に食わないで、陥れようとした可能性はある。

 高嶋に持たせたビデオカメラ。

 あれは吉川を脅すためじゃなく俺に使うつもりだった……?

「なにがあったか口うるさく聞くつもりねぇし。今回は目を瞑っててやるけどよ。マックスに助けられてほんと良かったな?」
「…………」

 警察にも学校にも報告しないつもりか。

「めちゃくちゃになるところだったろ。お前の夢も人生も」
「なればよかったのかもしれません」
「はは。そんな投げやりになんなって」

 投げやりになっているわけじゃない。

 未来が見えなくなっている。

 手に入れたはずだった、自分の居場所を。

 そこは心地良い場所だった。

 だけど今はわからない。