「車内でタバコ吸おうとしたら絶対に吸うなとか注文つけてきやがってさ。ほんと生意気なガキだよなぁ。俺の車で俺がなにしようが自由だっつーの」
「苦手なんですかね」
「ん?」
「タバコ」
「いや、苦手というよりは。服に余計な香りつけたくないんだろうねぇ」
――香り?
「これでもかというくらい、ふりかけてたろ」
「消臭スプレー」
「当たり。きっとアイツはさぁ。変わらない日常しか送れないんだ」
「…………」
「さて問題です。どうやってお前の向かった居場所をつきとめたでしょう」
ピタリとあとをつけたわけじゃないはずだ。
そんな車があったら俺が気づいていただろう。
「GPSですか」
「はは。そんな警察みたいなことできるかよ」
「じゃあどうやって」
「お前と吉川の乗り込んだタクシーの車両ナンバーをマックスが覚えててな。知り合いのツテでつきとめた」
「本当に?」
「疑い深いねぇ。そんなことよりさ。演劇部に見学来てみない?」
「…………」
「いいだろ一回くらい。明日来いよ」
「遊んでる時間、ありません」
「遊べって。学生のうちくらい。大人になりゃ嫌でも働かなきゃなんねーわけだし」


