嘘つきピエロは息をしていない



 そういえば、榊が聞いていたな。

『キミはどこの事務所なの?』
『事務所? ンなもん入ってねぇわ。ああ、でもしつこく勧誘はされてんな』

 あれは演劇部のことだったのか。

 揺らいでいるどころか、まんざらでもないだろう。

 あのとき妙に穏やかな表情を浮かべていたのがその証拠だ。

「あのツンデレくん俺んとこ飛んできてさ。吉川が西条に連れて行かれたから急いで追いかけろって血相変えて頼んできやがんの」

 裏門の近くで吉川をタクシーに乗せるとこを見られていたのか。

「デートくらい邪魔してやんなって言って最初は相手にしなかったんだけどねぇ。取り返しがつかないことになる前に動けって必死だったから車出してやったんだ。アイツの勘ってすげぇのな」

 勘なんてもんじゃない。

 その話を聞く限り、俺はマックスにあまり信頼されていなかったのがわかる。

 俺をイメージで判断していなかったんだ。そんな人間が身近にいたとは。

 確実にどこかで会ったはずだ。

 それは、どこだ?