「うちの吉川が拉致られたと聞いて飛んでかけつけたわけだが。当の本人は自分がどうしてあのマンションに連れて行かれたのか、点で気づいていやしねぇ」
うちの吉川?
保は担任はもっていなかったはず。なのにその言い方……。
そうか、保は演劇部の顧問をしているんだ。
「吉川さんは、いつも、ああなんですか?」
「さぁな」
「…………」
「俺が知ってるのは。アイツが芝居バカってことくらいだな」
まるで想像できない。
吉川きりが芝居をするところは。
「さっきのマックスってやつ。何年ですか」
「マックス? はは」
「なにが面白いんですか」
「いや。なんでもない。エアマックスくんね」
「……は?」
「気になるのか?」
「演劇部の部員ですか」
「いいや。させようと思っているんだけどねぇ。ほら、見るからに頑固そうだろ。簡単にはYESと言わない」
「…………」
「まあ。俺が思うに、アイツの意志はとっくに揺らいでる。あとは体外的な問題かなぁと」


